
西口克己「祇園祭」
いま読んでいる本1冊目。時代小説に関心があって、西口克己小説集を読み直している。
活劇としての時代小説ではなく、圧政に抗う民衆のありのままを描くそれを。
「ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう」
こんな素敵なことを言ったのは、多分植草甚一さんだったと思う。そう1984年だか85年に上梓された本のタイトルだった。
その中のいちばん最初のコラム『こんどのクリスティーはどうだろうか』の冒頭には、こんなことが書かれていた。
「いま読みかけのミステリが4冊ある。1冊ずつ片付けてしまえばいいのに鉢合わせになるおもしろさというのがミステリにはあるから、いつもこうなってしまうし、そこへまたほかのが割り込んだりするので途中まで読んでつまらなくなったのは、いつのまにか題名まで忘れてしまっている」
植草さん、いや親しみをこめて「J.J.おじさん」と呼ぼう、J.J.おじさんのコラムはいつもこんな書き出しではじまる。それがジャズの話でも、映画の話でも、小説の話でも、こんなふうな日常の断片からふらっとはじまるのだが、いつのまにか読み応えのある評論になっていく。ぼくがまねしようかな、なんて思っても足もとにもおよばないや。だからJ.J.おじさんが亡くなって35年近く経つのにいま読んでも、へえこいつはすごいやって感心させられる。ジャズのことやら、映画のことはほとんどJ.J.おじさんのコラムで勉強したといってもおおげさじゃない。

岡本仁「続・ぼくの鹿児島案内」
26日にイベントでご一緒する岡本さんを知るために読んでいる。軽快なコラムで構成されている。
えっ、いったい何がいいたいのかって?
じつはぼくはいま、4冊の本を読みかけているんだ。おじさん、そう、おじさんでいいよね、おじさんのように4冊ともミステリならかっこういいんだろうけど、ぼくの場合はいろんな本をごっちゃに読んでしまうスタイルなのであまりおしゃれじゃない。ぼくって人間がそんなにおしゃれじゃないからしかたないじゃないか
4冊も1度に読むと頭の中に入らないんじゃないかって人によくいわれるんだけど、ほんとうのことをいうといまちょっとした原稿を書かなきゃならないので、その資料、参考にと、もう5冊ほど多く読んでいる。でもこの5冊は最初から最後まで読み通すというのじゃなくて、必要なところだけでいいから、いってみればつまみ食いのようなものだね。
これが締め切りが迫って、けっこう大変なんだ。自慢するわけじゃないけど、ここ数日お酒も飲まない夜が続いている。
だったら必要のない本は何も読まなきゃいいのにっていわれそうだな。

和田博温「焼酎はおもしろい」
著者・和田さんからいただいた。焼酎蔵を丁寧に取材し、じっくり味わい、楽しみながら書いたという雰囲気が漂う。
焼酎飲みのバイブルだ。
ぼくは書くのが忙しくなればなるほど本を読みたいって思う質なんだろうか、明日がもう締め切りだってときも本を読まずにはいられない。それも自分が書いている原稿とはなんの関係もない本をだ。
文筆を仕事としている人と話をすると、原稿執筆中は参考になる本以外や資料以外は読まないという人が多い。人の文章に引っ張られたり、気になったりするからだそうだ。ひと言でいうと影響を受けるということなのだろう。そうなるとぼくなんかは影響を受けやすいタイプだから、読んじゃいけないってことになるんだろうな。
でもぼくは読む。そして影響を受けるどころか、うまいなあ、いいなあとつくづく感心してしまうのだ。ぼくはなんてへたくそなんだって。いま読んでる4冊もどれもとてもうまい。ぼくなんかとはまったく別物だなって感心してる。ほんとにぼくはへたくそなんだ。

井上理津子「最後の色街 飛田」
「大阪下町酒場列伝」から注目してきた書き手だ。12年をかけて取材をしたというエネルギーと女性だからこその視点が、最後の色街を描き出す。あたかも織物を織り上げるように。
でもそのことがわかればOK。べつに文章のうまいへたで書き手の値打ちが決まるわけでもないしね。
ぼくはぼくだ。
自分が書きたいこと、書かなければならないこと、書こうとしていることが、ちゃんとかけているかどうか、それが問題だ。
誤解を恐れずにいうと、バーナード・リーチがいったように、模倣することと影響を受けることは次元の違う話だ。書いている最中にひとの本を読み感心する。そうだ、こんなふうに書けばいいのか、って。それを自分のことばにおきかえてみる。なるほどね、って。でもそれでおしまい。あとは自分の頭で考える。ぼくはへたくそだって自覚しているから、ひとのことばをまねてうまく書くなんて必要もない。ちゃんと書きたいという思いが強くなるだけ。
それに、本を読むことも、文章を書くことも、考えることとイコールなんだとぼくは思っている。ぼくの「忙しい」ってときは、「考えたい」ってときなんだろうな。だから本に手がのびるのかもしれない。だけど、書かなきゃならない原稿そっちのけで本を読んだり、こんな文章を書いたりしてるから、ぼくの場合は「書かなきゃならない原稿は夜中に徹夜で書こう」ってなる。















































